トラックの「買取」と「廃車」はどう違う?損をしないための判断基準
「古くなったトラック、売れるのか、それとも廃車にするしかないのか?」
長年使い込んだトラックを手放す際、多くのオーナー様がこの選択に頭を悩ませます。実は、トラックは乗用車とは異なり、たとえボロボロの状態でも驚くほどの価値が残っているケースが少なくありません。
安易に「廃車」を選んでしまうと、本来得られたはずの数十万円の現金を逃してしまうだけでなく、余計な処分費用を支払うことになるリスクもあります。
この記事では、トラックの買取と廃車手続きの決定的な違い、そしてどちらを選ぶべきかの判断基準を詳しく解説します。
1. 「買取」と「廃車」の根本的な違い
まずは、それぞれの言葉が指す意味と、その後のトラックの行方の違いを理解しましょう。
買取:車両を「資産」として売却する
買取とは、トラックを中古車として業者に売ることです。
行き先: 国内の中古トラック市場や、需要の高い海外市場へ再販されます。
メリット: 現金が手元に入る。名義変更などの面倒な手続きは業者が代行してくれる。
特徴: トラックは耐久性が高くパーツの汎用性も広いため、10万km、20万km超えの多走行車でも「買取」が成立することが多いです。
廃車:車両の「登録」を抹消する
廃車とは、陸運局で「この車はもう公道を走りません」という法的な手続き(抹消登録)を行うことです。
行き先: スクラップ(解体)されるか、再利用可能な部品(エンジン、ミッションなど)として取り出されます。
メリット: 自動車税や自賠責保険の還付金が受け取れる。
特徴: 事故で大破した不動車や、修理不可能なほど老朽化した車両が対象となります。
2. 廃車手続きの3つの種類
廃車と一口に言っても、状況に合わせて以下の3つの手続きに分かれます。
| 手続き名 | 内容 | こんな時に選ぶ |
| 一時抹消登録 | 一時的に使用を止める。書類上の廃車。 | 長期出張や病気でしばらく乗らない、または転売予定。 |
| 永久抹消登録 | 二度と乗れないように解体する。完全な廃車。 | 事故車、水没車、老朽化してスクラップにする場合。 |
| 輸出抹消登録 | 海外へ輸出するために行う手続き。 | 海外へ売却が決まっている場合。 |
3. 「買取」か「廃車」かを見極める判断基準
「私のトラックはどっち?」と迷ったときは、以下の基準を参考にしてください。
買取を選んだほうが良いケース(=まだ価値がある)
自走が可能である: エンジンがかかり、安全に走行できる。
人気メーカー・車種である: いすゞ(エルフ)、日野(デュトロ)、三菱ふそう(キャンター)などは特に海外需要が絶大です。
年式が古くても程度が良い: 走行距離が伸びていても、定期的なメンテナンス記録があれば高く売れます。
廃車(廃車買取)を検討すべきケース(=車両価値が低い)
修復不可能な事故・火災車: フレームが大きく歪んでいるもの。
水没車: エンジン内部まで浸水し、電装系が全滅しているもの。
買取業者で「0円」と言われた: 複数の業者で査定しても値がつかない場合。
4. トラック特有の「お宝」ポイント:廃車でも諦めない!
実は、普通の車買取店では「0円」と言われるトラックでも、トラック専門の廃車買取業者なら値段がつくことがよくあります。
海外では「日本製トラック」が神様
日本で廃車扱いになるような古いトラックでも、海外(東南アジアやアフリカなど)では修理して何十年も現役で使われます。特にエンジンの頑丈さは世界一と評価されており、エンジン単体だけでも高値で取引されます。
鉄くずとしての価値
トラックは普通乗用車に比べて使われている鉄の量が圧倒的に多いです。鉄の相場が高い時期であれば、解体するだけでも「鉄くず代」として数万円〜十数万円の価値になることがあります。
5. 失敗しないための応急・対策チェックリスト
いざトラックを手放す際は、以下の3点を徹底してください。
「普通車専門」ではなく「トラック専門」の業者に頼む
トラックの特殊なパーツ価値や海外販路を熟知しているため、査定額に大きな差が出ます。
還付金の有無を確認する
廃車にする場合、前払いしている「自動車税」「重量税」「自賠責保険」が月割りで戻ってきます。買取額に含まれているのか、別途戻るのかを必ず確認しましょう。
レッカー費用や手続き代行料が無料かチェック
不動車の場合、引き取り費用がかかる業者もあります。「全部込みで無料」を謳う良心的な業者を選びましょう。
6. まとめ
トラックの「買取」と「廃車」の大きな違いは、その車両が**「中古車として走る」か「資源(パーツ・鉄)になるか」**の違いです。
今のトラック市場では、たとえボロボロの10年落ち・20万km超えであっても、思わぬ高値で「買取」されるチャンスが広がっています。
自分だけで「もう廃車だ」と決めつけず、まずはトラックの価値を正しく見極められる専門業者に相談することが、収益を最大化し、損をしないための最短ルートです。
あなたのトラックに眠る本当の価値を見逃さないようにしましょう。